テーマ② 水晶体
厚みを変えてピントを合わせる「水晶体」

目を構成する重要器官、水晶体。そのカメラレンズのような働きと構造を知っていますか?

水晶体の構造と役割とは?

水晶体は、ほぼ透明なラグビーボール状のカタチをしていて、水とタンパク質で形成される器官。眼の一番外側に位置する角膜とともに光の屈折を調節して網膜に映し出す、カメラでいう凸レンズとしての働きをする重要な役割を担っています。
水晶体と角膜の間には『房水』という非常に綺麗な液体で満たされた層があり、血管や神経などが全くない水晶体は、この『房水』から栄養を取り入れ、不要になった老廃物を戻しています。
外から入ってくる光は角膜と水晶体によって曲げられるのですが、形を変えないカメラのレンズとは異なり、水晶体はその形を瞬時に変化させていろいろな対象物にピントを合わせていきます。すなわち、遠くを見るときは屈折率を小さくして焦点距離を長くするために薄く、近くを見るときは分厚くなって屈折率を大きくし焦点距離も短くする、という具合です。
水晶体の変形と焦点距離図
水晶体の変形と焦点距離図

水晶体の変形と焦点距離

水晶体は赤ちゃんの時には丸い形。大きくなるにつれてだんだんラグビーボールのような形になり、遠くを見るときにリラックスした状態となります。近くを見るときは筋肉を緊張させてレンズを厚くし、ピントを合わせるのです。水晶体はもともと柔軟性に富んでいるので、無意識下で自在にその厚みを変えて、遠くでも近くでもラクにピントを合わせて視覚情報を得ることができます。その調節力のピークは20歳頃。それ以降徐々に水晶体の柔軟性は下がっていき、40歳を過ぎると眼前30cmより近くのモノが見えにくくなります。水晶体そのものが硬くなり、厚くなりにくくなるのです。

調節力の低下が分かる近点のチェック

お店に入って料理を注文しようとメニューを開き、ふと気付くと眼からだいぶ離して見ている。スーパーでの買い物、原材料表が気になるけど読みにくいのでスルーする。そんなことがあったら、調節力の衰えは始まっています。
ヒトの視力には遠くが見える距離=遠点と近くが見える距離=近点があります。遠点と近点の間を明視域といってよく見える範囲を示しますが、近くのものや小さい文字などが見にくいと感じる場合、この近点が遠ざかっているということになります。
眼の直前に人差し指を立ててかざして徐々に遠ざけ、人差し指の指紋にはっきりピントが合い始める最も近い距離があなたの『近点』。この距離が30cmを超えるようなら、調節力が低下している、すなわち老眼が始まっているということになります。
※近視や乱視の方や、左右の視力が大きく異なる方などは、この方法で正しく老眼かのチェックができない場合があります。
※チェックはあくまでも目安です。正確は診断には、眼科や眼鏡店での診断をおすすめします。